今の大工とDIY
時代の流れとしてはしょうがないのかもしれないが、今は殆んどの家の建て方というのは工場で組み立てる。
要するに朝一番、もう組み上がってしまっている壁やら床の木材が、トラックで山のように運ばれて現場まで来るのだ。
メーカーによって多少違いはあると思うが、だいたいはそういう流れになっていて、来たそれを、荷揚げ屋という日雇いか派遣バイトの作業員が、基礎が出来ている一階から順番に下ろしてゆくのだ。
それを組んでゆく棟梁の腕としては、もう殆んど技術的に発揮される機会を失ってしまった木組みやカンナがけの職人技の代わりに、まず仕上がってやって来る、水平垂直の通りが通っている、壁などの見た感じの違和感を確認、修正若すること位。
だからその代わり荷揚げの重労働に対する礼儀として、リズムよく前もって図面を読んで教えてやったり、疲れないような的確な指示をくれてやる。
文字通り気を使う。それが求められる。
何しろ相手は自分の半分くらいの人工(給料)しかもらってないのだから、せめて一分でも早く上げて(帰らせて)やろうと考える。
それが親方の器量と技量という事になるんだろう。
それが粋っていうものなのだ。
一流の職人は苦労を知り、人を見る目がある。
所見の人の技量を瞬時に計り、その腕をうまくのせて使うのが器量。
誰かががミスしても簡単に補うのが技量、これが出来なければ親方には絶対になれない。
そして特に絶対にしないのが、人任せである。
棟梁たるもの、最後は現場の全てに責任を持つのだから、当然荷揚げの者には仕事を任せることはない。
全ての部材を上げたなら、あとは掃除でもして早く帰りな。
あとはうちの連中の出番だからさ。
これが大工の心意気。
悪いが十年。
良いが三十年。
これが職人である。
それにしてもである。
例え十年このプラモデルシステムで修行しても、決して大工にはなれないだろう。
木と真面目に向き合うことがなければ、人に何を教えられる筈もない。
小学生の夏休み工作。
裏のおじさまのDIYの方が、よっぽど工夫して、立派に大工をやっているんじゃないかな。
かくいうオイラも、元はただの自衛官上がりのDIY職人。
だが工夫して、家一軒分の屋根付きウッドデッキを造ってみちゃった。
それにはまり、お金を貰うプロになろうと決めたのだ。
十年なんか、やってないよ。
でも小学生よりはちょっと上手いんじゃないかな。
あと、プラモデル大工さんよりかは絶対に上手いさ。
『グッドデッキカシマ』
ってのは、どうだい。